ジョアン・ミロの星座シリーズは、スペイン内戦・第二次世界大戦の戦火から逃れたミロが描いたシリーズです。25年06月現在、上野の美術館でミロ展があります。「星座」シリーズはその目玉となっているのです。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_miro.html
この水彩/グアッシュ・インク画はA4サイズほどの大きさで、小さい印象を与えます。展示を通じて、これほど小さいサイズはこの絵のみです。戦時中ゆえにこの絵は丸めて運べる必要があったからです。
この絵は「困難な状況にいながら希望の星を忘れない」という解説がなされていました。誰が聞いても美しく聞こえる解説です。
しかし、果たして書かれた当時そのような心境だったのでしょうか。私にはそう思えません。
展示された絵のなかで「星座」のように線が絡みあっているものは非常に限られています。比較的描き込みの多い「オランダの室内」と比較しても、生き物と生き物の輪郭が絡み合っているのは、星座シリーズから受ける強い印象です。他の作品は、抽象的な何かがポツンと独立している構成を取ることが多かったです。

私は、どうしてもこの物体同士の絡まり方に、逃げ場のない・先行きの見えないときに抱く、切羽詰まった感情だけを感じ取らざるを得ないのです。もちろん、希望を抱いていた可能性は捨てられません。ですが、自身が、故郷が、友人が、生き延びられるか。そんな状況下で希望とは、安全が脅かされない状況で感じる希望と同じものなのでしょうか。全く異質の性質を帯びていると思います。もっと、絞り出るような、一日一日を耐え忍ぶための、炭のわずかな火のようなものではないでしょうか。というか、希望を感じていたのでしょうか。
どうしても、「星座」が困難な状況で抱く希望として扱われるのは違う気がします。